週刊仏教タイムスに取り上げられました:核燃料サイクル停止求め提訴 宗教者211人「命をつなぐ権利」主張


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2020/3/12
核燃料サイクル停止求め提訴 宗教者211人「命をつなぐ権利」主張 

東京地裁に向かう原告団と弁護団 核といのちは共存できないとして、仏教・キリスト教・神道などの諸宗教者・信仰者211人が青森県六ヶ所村にある再処理工場(核燃料サイクル事業)の運転停止を求めて9日、東京地方裁判所に提訴した(宗教者核燃裁判)。訴状では、過酷事故の際の多大な影響のほか、幸福追求権の重要事項として「いのちをつなぐ権利」を明記し、使用済み核燃料や高レベル放射性廃棄物といった核のゴミを将来世代に押しつけてはならないと主張している。

 原告団は「原子力行政を問い直す宗教者の会」(宗教者の会)のメンバーら。仏教96人、キリスト教109人、神道1人、無所属5人の211人。原告団共同代表は、長年にわたり原発問題に取り組んでいる中嶌哲演氏(福井県、真言宗御室派明通寺住職)と岩田雅一氏(青森県、日本キリスト教団牧師)。

 東京地裁前には原告団と弁護団が揃い集会を開き、今裁判への決意と意気込みを語った。訴状提出後には司法記者クラブで会見を開き、続いて参院議員会館で意見交換会を催した。

 原告団共同代表の中嶌氏は、核燃料サイクル事業の主体である日本原燃株式会社(本社・青森県六ヶ所村)を被告としていることに「日本原燃は、沖縄電力をのぞく日本の9大手電力会社と日本原子力発電会社が出資した会社」だと説明。「日本の原発は北海道から四国、九州まで例外なく過疎地に押しつけられている。電力はそのブロックの大都市圏で消費され、電力会社が産みだした放射能の固まりをすべて青森県の六ヶ所村に押しつけている。この有り様を東京地裁で解明して頂きたいと思っている」と、原発が不均衡な地域格差のうえで成り立っていることを告発した。

 
弁護団長の河合弘之氏は、原発推進理論の中心にある核燃料サイクル(永久燃料)論の要(かなめ)である再処理工場に異議を唱えることは非常に重要だと指摘。破綻している論理だとも述べた。河合氏は「日本の核燃料サイクル構想の肝にナタを打ち込む、非常に重要な訴訟だと思っている」と解説した。

 原発は東電福島第一原発事故が証明したように過酷事故が起きた場合には、「国を滅ぼしかねない大惨事になり、多くの国民が苦しむことになる」(河合氏)とした。こうした観点から宗教者による原発訴訟を評価。「宗教者が立ち上がったことに意義がある。現世の人の幸せだけでなく、後世の人たちの幸せも祈り実現させる義務が宗教者にはある。もちろん、神仏に祈るのも大切だが、将来世代のことを考えて裁判所に請求することも大事」と話した。

 同じく弁護団の井戸謙一氏は、今訴訟の特色である「命をつなぐ権利」について説明。訴状では「人類の一員として次世代に生命をつなぎその幸福を実現する権利」(自分のDNAを子孫に残すことを含むが、それに限られず人間社会を持続可能な状態で引き継いでいくこと)と定義している。

 井戸氏は「生命の本質は、DNA(=いのち)を次世代につないでいくことにある。つないでいった将来のDNAが使用済み核燃料によって危機に瀕してしまうことは、私たちのDNAをつないでいく権利を侵害するもの。裁判ではこれを主張していく」と述べた。

 「宗教者の会」では、2年前の松山全国集会で司法への働きかけが必要ではないかとの意見が提起された。これまで行政や電力会社などに働きかけてきたが、司法に対してはなされていなかった。その後、他の団体や弁護士とも意見交換した上で今回の提訴となった。

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